あらゆる人と、metapsが交わる場所

起業した会社を譲渡。ブロックチェーンに魅せられた男の挑戦。

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青木宏文 / Hirofumi Aoki

青山学院大学卒業後、新卒でNECに入社。インフラSEとして活躍後、UI/UXデザインのスタートアップに転職。その後、デザインコンサルティングの会社を起業して黒字化。共同創業者に譲渡した後、フリーランス期間を経て2017年にメタップス参画。現在はブロックチェーン事業を行うメタップスアルファ事業責任者として「miime(ミーム)」の立ち上げに従事している。

 

仮想世界のリアリティを上げる

 

ー現在の業務を教えて下さい。

ブロックチェーン技術に特化してサービス開発を行う株式会社メタップスアルファで「miime(ミーム)」というプロダクトの事業統括をしております。まだ2019年9月にクローズドβを開始したばかりなので、統括と言っても事業立ち上げに必要なこと全て対応しています。

 

 

ー例えばどのような業務でしょうか?

そうですね。リーガルチェックや仮想通貨の定義に関する金融庁との折衝、UIデザインやフロントのコーディング、採用力を上げるためのブログ開設やカンファレンスへの登壇などプロダクト立ち上げに必要なこと全てです。

 

ービジネスサイド、エンジニアサイド問わず本当に幅広く対応されているんですね。

はい、特に立ち上げ直前は人が足りないので、全て対応していましたね。

 

ーなるほど。miimeとは具体的にどういうプロダクトなのでしょうか?

ゲームのキャラクターやアイテムなどのデジタルアイテムをユーザー同士で売買できるCtoCマーケットプレイスです。ブロックチェーンを活用し、売買が成立してすぐに「仮想通貨での支払い」と「デジタルアイテムの所有権移転」が同時に実行される仕組みを実現しています。

 

 

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ーブロックチェーンを使うと何が良いんでしょうか?

簡単にいうと、ゲームや仮想世界の「リアリティ(現実感)」を上げることができます。ブロックチェーンを使っていない従来のゲームでは、特定の事業者が運営するサーバー上でデジタルアイテムが管理されているので、特定の事業者からの独立性やデジタルアイテムの数量制限を設けることが困難だったんです。ブロックチェーンを活用することで、デジタルアイテムを特定の事業者から独立して存在可能にし、また数量制限も設けることが可能になります。本来、デジタルなものは画像であれ電子書籍であれ、制限なく複製できるという特性を持っています。一方で、ブロックチェーンを使うとデジタルなものにも数量制限を設けることができるため、デジタルでありながら希少性を持たせることができます。

つまり、仮想世界でも希少価値のあるものを所有したり、売ったりして希少性を味わうことができるようになるわけです。希少性を味わえることで、仮想世界でもより現実世界と同じ感覚でアイテム(もの)を扱うことができ、リアリティを上げることができると考えています。

 

ーなるほど。ある事業者に依存していて無制限に存在するアイテムって現実の世界ではあり得ないですからね。

はい、特に現在、注目を浴びているVR(仮想現実)やAR(拡張現実)などといった仮想世界を創造する技術が、これから大幅に普及し、人々が仮想世界で所有するデジタルアイテム(道具や家具、アバター、衣服など)が飛躍的に増えていくと予想しています。現実世界では味わえないような経験を仮想世界で体験する、もちろん現実世界では手に出来ないものを購入するようなことも。そういった余暇の過ごし方が、これから広まるのではないかと考えています。そのような状況で、人々がデジタルアイテムを手軽に売買するために、そして「リアリティ(現実感)」を持って楽しめる世界を創ろうとしているのがmiimeです。

 

最新のテクノロジーを自分の頭でプロダクトに落とし込みたい

 

ーメタップスに入る前のお話をお聞きしてもよろしいですか?

新卒でNECに入って6年間はインフラ周りのSEをしていました。大学時代からIT技術が好きでプログラミングを書きたかったんです。でも入ってみて、自分の意思決定で色々やりたいという想いが強くなっていきました。

 

ーそれでスタートアップに転職したと。

はい、たまたまイベントで知り合った方に誘っていただいて、その方が経営するUI/UXデザインの会社に入社しました。ただ在籍期間は5ヶ月と少し短かったです。

 

ーそれは何故ですか?

一番は自分で起業してやってみたかったからですね。その会社はデザイン制作会社に近かったんですが、私はもっと上流からクライアントと話して、プロダクトデザインに落とし込んでいく仕事がしたかった。その想いに共感してくれた会社の同僚とその友人の計3人でデザインコンサルティングの会社を立ち上げました。

 

ー事業は上手くいっていたのですか?

はい、売上/利益ともに順調に伸びていました。

 

ーでも3年で共同創業者に会社を譲渡されたんですよね?

そうですね。起業して会社経営を約3年間やってみてわかったのは、やっぱり自分は最新のIT技術が好きだということでした。新卒の時から変わらず一貫してテクノロジーが好きなんです。

 

ー会社を経営することよりも、テクノロジーで社会を変えていきたいと。

はい、私が本当にやりたいのは、最新のテクノロジーを使ったプロダクトやサービスを、自分の頭で試行錯誤しながら創り上げていくことでした。だから違う道へ行こうと決めました。

 

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ーその後は何をされていたんですか?

譲渡後はフリーランスになってお金を稼ぎながら、ブロックチェーンをメインに新しいテクノロジーの勉強をしていました。もともと2016年頃からブロックチェーンの技術については結構勉強していて興味はあったんです。それで次はこの技術を使って何をやろうかと模索していました。

 

ーその時にたまたまメタップスの求人を見つけたんですよね。

はい、当時メタップスが運営していたタイムバンクというプロダクトでICOをリードするポジションでした。

 

ー当時は入社する気はなかったとお聞きしました。

全くなかったですね(笑)。面接でもなかったので、とりあえず話を聞いてみようとカジュアル面談に行きました。

 

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ーそしたら急に社長(現メタップス会長の佐藤)が出てきたと。笑

はい。予想外で驚きました。でも話をする中で、私のやりたいこととメタップスが探しているポジションが一致しているとわかったので、次の挑戦の場は、ここにしようと決めました。

 

ー入社当時に予定されていた業務内容と今のポジション、結果的に変わってしまったかと思いますが、その辺はいかがですか?

未だ誰もやっていないことを遂行するポジションだったので、最初から状況が大きく変わる可能性があることは予想していました。それに、色々と変化はありますが、最新のテクノロジーを使って、先陣を切って業界のスタンダードを創りにいく仕事をさせてもらえているので、それに誇りを持っています。

 

ー例えばどんなことでしょうか?

ICOプラットフォームをメタップスが創る構想や、海外子会社が作ったマーケットプレイスを日本でも展開する構想など、携わった案件はいずれも法的な精査が必要で、どの企業も挑戦したことのない内容ばかりです。

 

ーなるほど。それで結果的に自分たちでマーケットプレイス「miime」を作りにいくという帰着に至ったんですね。

仰る通りです。こうした経験を経て、ブロックチェーン周辺の技術発展や展望を鑑みつつ、自分の頭でプロダクトに落とし込んだ最新のテクノロジーを最速で体現できるのがmiimeだと想い、創りはじめました。

 

チームプレーではなく、高レベルのチームワーク

 

ー青木さんは、特にデザインを大切にしている印象があるのですがいかがでしょうか?

そうですね、デザインはビジネスの必須項目だと思っています。ビジュアルのデザインも、エクスペリエンスデザインも含めて。ユーザーにフィットさせる上では、絶対に必要なので。

 

ーでは仕事をする上で、他に大切にしていることはありますか?

「自分が何を楽しいと感じるのか」を理解すること。そして後は楽しむことですね。自分が熱中できないと事業を成功させるのは難しい、これは真理だと思います。熱中できることをやっていくのはすごく大事だと思います。

 

ー特に事業の立ち上げは、忍耐力とかエネルギーが必要ですからね。

はい。楽しめないと絶対にエネルギーが続かない。楽しくて興味があるから、めちゃくちゃ考えたり調べたりできて、結果的に成功するんだと思います。やっぱりオタクと言われる人たちにその領域では絶対に勝てないですから。インプット量や思考量が段違いです。ビジネスも一緒で、なんとなくやっている人では熱中している人には勝てません。

 

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ー青木さんにとってそれはテクノロジーですか?

はい、最新のテクノロジーをプロダクトにどう落とし込めるか考え、実行することです。ここに没頭していたいですね。

 

ーチームという観点で何か理想のイメージはありますか?

そうですね。「攻殻機動隊」というアニメで出てくる好きな言葉があります。

 

”我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。

有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。”

 

つまり、メンバー各人が主体的に行動できれば、指示を遂行するだけのチームプレーから脱却し、時には各人が責任を持って判断し、行動できるチームワークへと昇華できる、という意味だと理解しています。ゴールに対して、メンバー各人が各人の判断で最善だと思う行動を取る。それが結果的にゴール達成への最善なチームワークとなる。

 

ーそれができるプロフェッショナルな個を揃え、チームワークを機能させられるような組織を創るということですね。

はい、難しいことは承知ですが、miimeでは本気でそれを目指しています。

 

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ーありがとうございます。それでは最後に、今後の抱負について聞かせてください。

そうですね、タイミングが来るまで、今できることをしっかり準備して我慢する、ですかね。少し保守的な意見ですが。

 

ーと言いますと?

miimeのユーザーは少しずつ伸びてきてはいますが、やはりブロックチェーンを使ったプロダクトは未だ使い難い。スマホのモバイルアプリに慣れたユーザーの水準には未だ到達していないんです。

 

ーそれは何故ですか?

スピードと工数の多さです。例えば仮想通貨を使って売買するにはデジタルウォレットが必要になります。それをインストールしたり、セットアップする必要があります。つまり、使えるようになるまでのステップが多いんです。また、ブロックチェーンを使うと、決済完了するまでに数分から数十分は時間を要する。

さらに仮想通貨を入手するためには、仮想通貨取引所で口座開設をして購入する必要があります。口座開設をするためには、身分証の提出など、通常のWebサービスよりも登録に手間もかかります。多くの人にとっては、仮想通貨を入手すること自体も手間が多く、大きなハードルとなってしまっています。

 

ーブロックチェーン基盤技術の進化が必要なわけですね。

はい。なので、そういう技術をいち早くキャッチアップしてプロダクトに取り入れていくことが大切です。ただこの進化が牛歩なんです。だからどの企業も今は我慢の時期。この制約の厳しい環境でどうできることを積み重ねていくか。そしてタイミングがきた時に一気に

刺せるかどうか、これが一番大切だと思っています。

 

ー青木さん、ありがとうございました!

 

取材:meetaps編集部
撮影:織井 浩