世界で一番尊敬している人と一緒に熱狂できる。こんなに楽しいことはない。

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原 周平  Shuhei Hara
株式会社タイムバンク 事業開発グループ長

法政大学卒業後、新卒で日本最大手のアパレル会社へ入社。主体性を発揮できない環境に危機感を感じ、半年も経たずに当時スタッフが5名にも満たないメタップスに参画。クーポンサイト事業の立ち上げやアプリマーケティング事業の立ち上げから収益化に携わり、全社MVPを獲得。現在は、新規事業であるタイムバンク事業の事業開発グループ長として事業グロースに注力している。

「できない理由」ではなく、「できる方法」だけを考える。

- 現在の業務を教えてください。
2017年末に立ち上げた「タイムバンク」というサービスの事業開発部門の責任者をしております。チームは常に最小人数で動いているので、プレイヤーとして見ている業務も多い状況です。

- そもそも「タイムバンク」とは具体的にどのようなサービスなのでしょうか?
タレントや経営者といった専門家個人の「時間」、チームやプロジェクトの「時間」を10秒単位でリアルタイムに買ったり売ったりすることができる、いわば「時間」の取引所です。買った「時間」は、ビジネスの相談をしたり、講演してもらうなど多種多様なリワードとして使用することができます。文章で見ると難しいですが、一度アプリを見て頂けると非常に分かりやすいので、よろしければ、ぜひインストールをお願いします!

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info.timebank.jp

- ありがとうございます。その中でも原さんの業務は何がメインになるのでしょうか?
営業やマーケティング、アライアンス、アプリ内のイベント企画や運営、カスタマーサポートなど、システム開発を除くほぼ全てに関わっています。プロジェクト立ち上げのタイミングで、ビジョンや事業構想は社長(現会長の佐藤航陽)の頭の中で既に出来上がっていたので、「このサービスを世の中にどうやって広めていくのか」、「順序立てて整理し、どうやって事業として育てていくのか」が私の役割だと思っています。

- なるほど。リリース当初は類似サービスも世の中になく、苦労されることも多かったのではないですか?
苦労の連続でしたし、それは現在進行形です(笑)。仰る通り、類似サービスがないので、市場への浸透スピードも遅いですし、そもそも何をするにしても前例がないことだらけなので、何が正解かすらもわかりませんから。

- ただ裏を返すと、無限の選択肢がありそうですね。
仰る通りですね。SNSからAPIを引っ張ってきて影響力(拡散力)を数値化し、自動的に有望なインフルエンサーを抽出する仕組みを作ったり、既にこの分野で優位性を持った企業と提携して新会社を創ったり、サービスに登録してくださったYoutuberの方とタイアップして動画プロモーションを作ったり......大小問わず、正解がない中で無限にある選択肢から試行錯誤し続けていけるのが、タイムバンクの難しいところでもあり、仕事の醍醐味でもあると思います。

- 社長から無理難題な依頼がくることもあるんでしょうか?
基本的には全て無理難題かもしれないですね(笑)。ただ、そもそも「可能か不可能か」はあまり考えていないかもしれません。やってみないとわからないので。また、はじめは不可能だと思っていたいことは、やってみると案外できてしまうことが多かったりします。その意味では「不可能かもしれない」と思うシーンを減らせるように、様々なことにチャレンジし続けて「なんとかなった」という経験を増やすことは大切ですね。不可能だと思った瞬間から、できない理由を探してしまうので。意地でも策を見つけにいこうとするスタンスがあれば、大概のことはなんとかなってしまうかもしれません。

「他人の評価なんて気にしてんの?」社長の言葉が全てを変えた。

- 高校の時に社長と知り合ったんですよね? 
そうですね、福島県にある高校の同級生でした。進学校だったんですが、2年生の途中までは勉強もせずによく一緒に遊んでたんですよね。ただ急に社長の勉強スイッチが入って、熱を入れ始めときのことを今でもよく覚えています。友達の間でも、「かっちゃんが本気出したらしい」って話題になりました。

- その時の社長も今と変わらずですか?
何かを決めた後の爆発力は当時から常軌を逸するものがありましたね。余計なものをすべて捨て、自分の部屋に勉強机だけを置き、ユンケルとコーヒーを混ぜて飲みながら48時間ぶっ続けて勉強するというようなことをしていた記憶があります(笑)。

- それで良い結果が出るんですか?(笑)
後々、全国模試のランキングで文系3位まで上がってました。本気で取り組んだものに関しての熱量は、外から見ていても凄まじいものがありました。また、勉強だけでなく、芸術でもスポーツでもなんでもできましたね。油絵を描けば必ず校舎の廊下に張り出されていましたし、スポーツテストも学年4位でした。

- なぜ社長のスポーツテスト結果を覚えてるんですか(笑)。
たまたま自分が1位だったので、一緒に話していたことを覚えていました(笑)。1学年にまずまずな人数がいたので、共に上位に食い込んだねということで休み時間に話してました。

- なるほど。そういう友人関係が社会人になっても続いていたんですね。
はい、私は新卒で日本最大手のアパレル会社に入社し、社長は既にメタップスを立ち上げていました。全く異なる道を進んでいた2人でしたが、たまに飲みに行くような関係は続いていました。

- そこからメタップスに入社したのはどういった経緯だったんですか?
飲みに行った時に仕事の悩みを社長にも話すんですよね。

「どれだけ成功の確信を持って提案しても、マニュアル重視で主体的に動けない。もし勝手に動けば、上司や同僚にも迷惑がかかると言われてしまう。極端かもしれないけど、いずれ機械が代替できると想像がつく業務をやることに価値を感じれないし、大組織の中で働くのは難しいよ」と。

ーそういう悩みを持っている社会人は多そうですね。社長はなんて言ったんですか?

「他人の評価なんて気にしてんの?」と一言。

社長にとっては、純粋に感じた何気ない一言かもしれないんですけど、私の胸にグサッと刺さったんですよね。確かにそうだなと。私も自分が正しいと思うことに情熱を捧げたいなと心の底から思ったんですよ。しかも、20歳の時から情熱に従って起業している社長に言われたので非常に納得感があるんです。それで徐々に社長が取り組んでいるメタップスのことにも興味が出てきて色々聞くようになったんですよ。

- メタップスも当時は4名か5名しかいないスタートアップですよね。
仰る通りです。でも当時から壮大なスケールでビジョンを語るんですよね。うる覚えですけど、「これからはスマホのバブルが必ずくる。だからアプリに照準を当てて事業をスケールさせていく」とか「2018年までには銀行を持ちたい。メガバンクや地銀だけが運営する時代は終わるから」など色々話してましたね。

- その後5年間でスマホアプリマーケティングで事業を大きく飛躍させ、2018年の今ではファイナンス事業がメタップスの主力事業になっていますね。
そうなんですよ。メガバンクとの提携や新会社設立なども行ってますし、彼にとっては、大筋見えていた未来なのかもしれないですね。正直言うと、当時は理解こそできるもののあまりに壮大で現実味が持てなかったんですが、口で話しているだけではなくその全てを”本気でやろうとしている”ということははっきりとわかりました。

- それでメタップスに入社する決意を固めたんですね。
はい、周りの友人や先輩からはだいぶ反対されたんですけどね。でも組織に属する以上、トップが誰であるかは僕にとって重要な要素だったので。それまでの人生でほぼ唯一と言っていい「この人には勝てない」という感覚をもった社長の元で情熱を注ごうと心に決めました。入社の意思を伝える時に、「入るからには絶対上場させる」と社長に話したんですよ。そしたら、「原くんがいなくてもするけど」と言われましてね(笑)。今となっては、良い思い出話です。

チームビルディングをしようなんて思わない。大切なのは「謙虚さ」

- メタップスに入社されて、タイムバンクを立ち上げる前まではどのような業務をしていたのでしょうか?
入社してすぐにクーポンサイト事業の立ち上げに携わり、その後はアプリマーケティング事業の立ち上げから収益化までを担当していました。ありがたいことに、企画や営業、マネジメントなど事業側の構成要素には一通り携わらせて頂いてたと思います。

- 新規事業の立ち上げを多く経験されていますが、チームで仕事をする上で、原さんが何か意識していることはありますか?
これと言って意識はしていないですが、強いて言えばネガティブな感情を出さないようにしています。感情任せに怒ることはしない。怒ってしまうと担当者は萎縮し、ミスが増え、報告が遅れ、もっと大きなミスをするという、悪いサイクルが回りだすケースがほとんどですから。当たり前のことですが、何が起きても現場のミスは自分の責任ですからね。

- 必要な配慮や仕組み作りができていなかった自分の問題ということですね。
仰る通りです。問題が発生すればシンプルに原因を把握して、課題を抽出し、解決策を考えて実行する。それだけに集中するようにしています。もし、メンバーが改善すべき課題があるのであれば、なぜ駄目だったのか、同じようなことはどうすれば防げるのかを一緒に考える。指摘する時も、相手が嫌な気持ちにならないようユーモアも交えて話をするというのも無意識的ではありますがやっているかもしれません。とてもシンプルですが、事業成長が大前提にある中でも、「私のために言ってくれているんだ」ということが、結果的に伝わるかどうかが重要なんだと思います。こういう健全な対話の数が増えれば徐々にメンバーは成長し応用が効くようになりますし、これがチーム全体の成長につながるものと考えています。

もちろん、極端に責任感がないような発言や行動など、根本的なスタンス面に課題を感じる時は怒ることがあるかもしれません。ただあったとしても本当に稀です。

- チームの雰囲気を非常に重要視していることが伝わってきます。
そうですね。大切なことは、誠実で偽りがないコミュニケーションが取れる環境を当たり前にチーム内に根付かせること。また、各メンバーが日々のコミュニケーションから「思いやり」を感じられる環境を構築することがチームの生産性を増幅させると信じています。

- このようなスタンスは誰からの影響なんでしょうか?
やっぱり社長かもしれませんね。これまで10年近く一緒に働いてきましたが、彼が社員を相手に怒りの感情を出しているところは一度も見たことがありません。横柄な態度を見たことは一度もありませんし、メンバーへの接し方という意味では、かなり影響を受けていると思います。

- 「謙虚さ」というのが全てのベースになっているのかもしれませんね。
そうですね、重要だと思います。謙虚さは自己否定できていることの裏返しだと思うので。謙虚な人は自分の考えを良い意味で否定できるので、物事を俯瞰して見ることができる傾向が強くあります。つまり、自分の考えに固執せず、適宜、人の意見を受け入れられる余地がありますし、その上で自他の意見を問わず良し悪しの判断ができる傾向が強い。無駄な感情が入りにくい分、その判断の精度も高い。一方的ではないので、チームメンバーとのコミュニケーションも円滑です。

- 新規事業で重要な「柔軟性」にも繋がる部分がありそうですね。
仰る通りですね。新規事業では見えない答えを掴みにいくことが多いので、様々な角度から高速でPDCAを回す必要があります。自分の考え方・価値観に縛られてしまうと、この流れの速さに順応できず、厳しいですが足手まといになってしまうケースが多くあります。外部環境の変化に合わせて、めまぐるしく変わる意思決定や同時に立ち上げる複数のプロジェクトに対応していくには、この柔軟性をベースとした機動力が大事になります。事業へのコミットメントや、自頭の良さ、最低限のビジネススキルなどはもちろん必要ですが、謙虚さは新規事業に大切な要素だと思います。

予測可能な将来はつまらない。先が読めないからこそワクワクする。

- 最後に、ご自分の将来について何か考えていることがあれば教えてください。
正直なところ、今は朝から晩までタイムバンクのことしか考えていないんですよね。なので、あまり将来のことを現時点で考えられていないです。一方で感覚的にではありますが、この事業をきちんと成功させた先に次のステップがあるのではないかとも思っています。これが良いのか悪いのかはなんとも言えないところではありますが(笑)。

- すごいですね、そのモチベーションはどこからきているんでしょうか?
色々ありますけど、やっぱり社長の存在は大きいと思いますね。いつも壮大なスケールの話を本気で持ちかけてきては、そのまま「ということなのでやってみようと」と言われるわけです。ふつふつと湧いてくるワクワク感は、無視しようにもできないですよね(笑)。しかも、誰よりもそれを実現しようと行動で示すのはいつだって社長です。コミットメントの強さ、無茶の仕方、覚悟の決め方など一種の憧れに近いものがあるかもしれないですし、そういったものに刺激を受けていることは事実だと思います。

- そうすると、「最も尊敬する人物は?」と聞かれたら?
社長だと思います。学生時代からの付き合いに依存する部分もありますが、相当な覚悟と、努力をもとに私が入社してからここまで様々なことを切り開いて形にしている姿を外からではありますが見てきました。社長は嫌がるかもしれませんが、ワンピースの中の「ルフィ」と重なって見えることがあります。なので私は同じ船のクルーとして、いっしょに船に乗っている感覚かもしれませんね(笑)。下手な政治もなければ余計な干渉もない。気取らない感じで、結果には誰よりもこだわる。無茶はしますが、極めて自然体な人だと思っています。一番尊敬できる人と共に熱狂できる。これがモチベーションなんだと思いますね。

- 素晴らしいですね。
やることもスピード感もカオスですけどね(笑)。ただ、これも私が求めている環境なんだと思います。このまま進み続けるからには、想像を超えるような現実を形にしていきたいですから。それに、予測可能な将来はつまらないじゃないですか。私は遊びの予定すらいれるのがあまり好きではなくて(笑)。先が読めないからこそワクワクするんですよね。想像のその先とか、想像さえできない経験ができるよう、速度感を持って眼の前の困難に必死に食らいついていこうと思ってます。

 
※社長:タイムバンク社長 兼 メタップス会長 佐藤航陽

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