あらゆる人と、metapsが交わる場所

大切なのはルールを決めることではない。 いかにビジネスの成功に寄り添えるかどうかだ。

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安本 聖一 / Seiichi Yasumoto
メタップス

名古屋大学 工学部卒業後、監査法人に入社。会計士 兼 ITコンサルタントとして活躍後、DeNAに入社。コンプライアンス室および経営企画部にて、内部統制の構築・改善、子会社内部監査を担当。その後、2014年にメタップス入社。上場準備から内部監査部の立ち上げを一人で行い、現在も内部監査部長として活躍中。

 

偏見を持たず、話を聞き、自分の頭で判断する。

 

ー入社してから現在までの業務を教えて下さい。

2014年、経営管理部の内部統制担当マネージャーとして入社しました。その後は、上場前のタイミングで内部監査部を立ち上げました。今もそのまま責任者をしています。

 

ー他社とメタップスの監査で違うポイントはありますか?

そうですね、普通は(というか理想は)ルールを作り、そのルールに照らし合わせてチェック/意思決定します。でも我々は、一度現場と話をしてみて、今までのルールはこうだけれど変えようかとか、前例がないけどもこういう方法でやってみようなどと現実的な落としどころを探りながらカスタマイズしていますね。

 

ーそれってルール通りに行うより大変ですよね。

特にメタップスではAIやブロックチェーン、暗号資産といったルールがあまり無い領域で戦っているということもあり、世間一般の監査のように整った状態ではないです。ある意味そこは我々の課題でもあります。ただ、だからこそ毎回現場と膝を突き合わせて会話して、そのビジネスを成功させるにはどうすれば良いか、監査の視点で寄り添うことは大切にしています。

 

ーメタップスのように革新性を求める環境では折り合いをつけるのは難しそうですね。

仰る通りです。基本的に我々は会社を守る立場です。監査法人、一般的な企業の内部監査のように形式ばった判断基準を持つと、事業を止めるようなことしか言えなくなります。つまり、一概にルールを決めてしまうとビジネスが死んでしまいます。そういう監査は絶対にやりたくない。事業側の社員には、やりたいビジネスを可能な限りやって欲しいと思っています。その中でも、会社として超えると問題があるボーダーラインは明確に存在するので、そこは一緒に議論に入って、代替案を模索したり、方向を変えてみる工夫をしています。

 

ー例えば直近だと暗号資産事業などはそうですよね。普通だとGOサインは出しにくいのでは?

そうですね。事業を展開する韓国現地のルールを守れるようにやっています。この件についても監査対応という意味だと、監査法人と調整をして、監査できる方法を模索する必要があります。これまで事例がありませんでしたが、監査上の懸念点となる暗号資産の実在性について、検証できるシステムを作ってもらいました。こうして前例のない事業であっても、会計監査、内部統制監査への対応ができるように取り組んでいます。

 

ーそこまで入り込むんですね。

新たなシステムを作ってもらうほどに踏み込む交渉はハードですし、このためにかかった時間は事業を止めることになるんですけどね。ただそれをやらないと監査が通らない、つまり暗号資産事業自体ができないので、結果的にはビジネス側のサポートができたと思っています。

 

ーそういう考え方/動き方は、何かロールモデルのような人がいるのでしょうか?

スタートレックのピカード艦長ですね。指揮官として素晴らしいと思います。どんなルールや価値観に対しても偏見を持たずにフラットに判断をしています。様々な文明や多様な価値観に出会うが、しっかりと話を聞いて、自分で判断するんですよ。だから高校生の時から好きです。

 

ー偏見を持たず、なぜそうなっているのか話を聞き、自分の頭で判断する。

はい、だから座右の銘とかたまに聞かれるんですけどあまり無いです。その言葉に引っ張られてしまうので。

 

自分の言葉でビジネスを語れる、そこに惹かれた。

 

ーメタップスに入る前の話をお聞きしたいんですが、キャリアのスタートはITコンサルタントだったとお聞きしました。

はい、実は新卒で監査法人に入ったのですが、会計士ではなくITコンサルタントとして入社しました。

 

ー初めは会計士ではなかったんですね、なぜですか?

そもそもITコンサルタントになりたくて就職活動していたんです。というのも、大学の時に某音響メーカーでカーナビを売るルート営業のバイトをしていたんですが、「どうやったら売れるか」を店舗を回って教えるのがすごく楽しかったんです。「ここの角にはこれを並べて下さい」、「これとこれをセットで出したらもっと売れますよ」と毎日のように店舗改善を行っていました。結構業績も良かったんですよ。

 

ー改善するという部分が楽しかったんでしょうか?

そうですね、改善というか工夫をこらして一緒に伸展させていくことが向いてるのかなと漠然と思ってました。大学は工学部の理系ですから、ITを使いながら改善提案していくような職業ということで、ITコンサルタントという仕事を見つけ、たまたま監査法人に辿り着いたんです。

 

ーなるほど、ではなぜ入社後に会計士の資格を取ったんですか?

イラっとしたからですね(笑)。監査法人の世界は、やはり会計士が優遇される世界なんです。ITコンサルタントとして3年間ほどやってみて、結果を出して評価も良かったのですが、やはり会計士のほうが優遇される場面が多かったです。この先も監査法人で仕事をしていくなら、何かしらのタイトルの必要性を感じてはいました。

 

ー徐々にイラッとしてきたんですね(笑)

はい。そういう感覚を持っていた時に、ある方から「モヤモヤするなら君も会計士になればいいんじゃないの?」と言われて。それまで自分が会計士になることは考えたこともなかったのですが、スッと視界が晴れたような気がして、すぐ専門学校に申し込みました。仕事しながらで大変でしたが、運も良かったと思います。

 

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ーそこからはITコンサルタントと会計士を兼務されていたんですよね?

人が足りていない時期だったということもあって、兼務していました。会計監査8:ITコンサルタント2くらいの状態でしたが、どちらも担当していました。 会社の戦略作りやITの業務改善にも踏み込めるし、会計士として数字も見れる。結果的にこれらの経験が私のキャリアの根幹になっていますね。

 

ーそういう経験を事業側でも積みたいということで、DeNAに入社されたんですよね?

そうですね、上場会社で一番伸びている会社に行きたかった。それまで私は、事業会社の経験がなかったので、事業会社で勤務する人材としてのスタートラインに早く立ちたかったんですよね。そのため上場会社で一番伸びてて、たくさん吸収できる会社に行きたかった。そうした条件に合う会社となると、当時数社しかありませんでした。ありがたいことに内定を頂いて、DeNAに入社しました。

 

ーDeNAでも業務的には内部監査でしょうか?

最初の1年半は内部監査ですね。内部統制の改善、SOX対応を主に行っていました。特に国内外の子会社を担当していました。

当初は内部監査と内部統制の構築・改善を同じ部署で行っていましたが、内部統制の構築・改善は、現場に近いほうがやりやすいですし、また内部監査自体も独立性が高まってより強化できます。

そういった管理部門の組織改革の中で、経営企画本部に内部統制推進の部署ができるときに、私自身ももともとはコンサル上がりですので、内部統制の構築・改善の方に興味があるので異動を申し出ました。

いくつかのプロジェクトに関与しましたが、大きなものは、海外子会社の基幹システム課題抽出と業務フロー見直しです。海外子会社でブラックボックス化していた業務やシステム仕様を可視化し、改善方法の検討を行っていました。

 

ーメタップスに入社したのは、これまでのキャリアの集大成としての意味が大きいのでしょうか?

そうですね。上場準備のような初期の段階から会社の構築に関与してみたかったという意味が大きいですね。なので当時は上場前の企業数社に話を聞きに行っていました。そしたらたまたまメタップスを見つけて、応募した翌日に面接、面接の翌月には入社していました。

 

ーすごいスピード感ですね。決め手はなんだったんでしょうか?

それまでは大きなビジョンだけ語る経営者の方が多かったのですが、経営陣とお話をして、会社の運営に関してすごく現実的な意見も持っていたところが好印象でした。特に会計や監査に対する考え方が誠実で、かつ人材も揃っていた(不足していましたが)。

上場は会社としては目的ではないですが、個人的なキャリアとしては通過したいと考えていたので、このようなチャンスは少ないと感じて、即決しました。最後はカンですが。

 

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ーメタップスに入社する社員は、ビジョンや革新性に惹かれる人が多いんですよ。一方で、安本さんは企業のフェーズに惹かれたのですか。

もちろんビジョンや革新的な要素にも共感はしていましたよ。ただそこがメインでは全くなかったです。むしろビジネスに対して非常に真面目だと思ったんです。当時の佐藤社長(現会長)、山﨑CFO(現社長)を筆頭に、会った人全員が自分の言葉でビジネスをしっかりと語っていました。既に監査法人も決めて、地に足のついた会話ができました。ビジネスの専門家ではないので、当時のアプリ収益化プラットフォーム事業とオンライン決済プラットフォーム事業上手くいくかどうかはわかりませんでしたが、この人たちとなら必ずいけるなと思ったんです。

 

ー自分の想いや考えをしっかり持っている人が好きなのかもしれないですね。

それは間違い無いですね。例えば監査をやっていても、監査だと言うと黙って聞いてこれでいいですみたいな人もいれば、自分の考えをしっかり語ってくれる人もいる。例えば、監査報告書を作成したときに、私のコメント通り返す方と自分の意見で返す方と分かれます。まだ当社は自分の意見が少ないと感じているので、そこは議論していきたいですし、その雰囲気を醸成していきたいです。

 

メタップスの守備は本当に強い。だから安心して攻めたビジネスを仕掛けて欲しい。

 

ーメタップスの話に戻りますが、安本さんから見て今のメタップスはどうなんでしょうか?

誤解を恐れずに言うと、もっと問題を起こして欲しいですね。今のメタップスはビジネスとしては着実に伸びています。ただ、新しいビジネスや変わったこと、前人未踏の領域での事業を狙いに行くなど、もっともっと今まで以上にメタップスらしさを追求してもいいと思っています。

 

ーまた内部監査らしからぬ発言ですね。

そうかもしれません。真意としては、そういうリスクを取れる人材が、メタップスの管理部門には、揃っているという自負があるんです。メタップスの経営企画や経理なども含めたバックオフィスの総合力は本当に高い。こうしたキャパシティを活かして、さらなる未開の事業に取り組んでもよいかなと。

 

ー安本さんとしては全くもの足りないということですね。

はい、もっと社会に対して問題提起ができるようなものや、他社が挑戦できていない案件など、もっと変わったことにトライしてもいいと思っています。守りの人材は本当に豊富なので、安心して波乱を起こして頂きたいなと。

 

ー今なお続くモチベーションの源泉はなんだと思いますか?

もちろん、当初思い描いていた仕事ができているというのは大前提としてありますが、上場前から事業の変革を体感していて、すごく刺激的でしたので、まだ会社の成長を感じたいからです。これからも面白いことが起こると思うので、経験していきたいと思う反面、その際に最低限守るべき歯止めとして手助けできるところはやっていきたいと思います。

 

ー上場前からメタップスで働いている方は、そういう想いを持った人が多い印象です。

そうですね、入社時から佐藤会長と山﨑社長を近くで見てきていて、比較的寡黙な面もありますが、誰よりも努力されていることも理解しています。お二人だけではないですが、会社が成長することが一番なので、私で手助けできることはしていきたいと思います。

まだまだメタップスは社会に対して、ポテンシャルに見合った価値を提供していないと思うので、これからですね。ITベンチャーはそういうものですから。

 

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取材・撮影:meetaps編集部