オタクの仕事術。公私混同が未来の仕事を生む時代

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石丸 哲平  Teppei Ishimaru
株式会社メタップスペイメント 営業本部

静岡県出身。東海大学文学部文明学科中退後、2年間ブラジルへボランティアとして渡航。帰国後2006年メタップスペイメント(旧デジタルチェック)に入社。2013年末よりチケットペイ事業に従事。無類のロボットアニメ、特撮好き。イベンター・司会・漫談DJ・ライター「ロボ石丸」としても活動中

 

ぼくはどんな人間か。
それは、ひとことで言えば「オタク」!
生まれついての「アニメ」「特撮」「ゲーム」大好き人間です。

小さい頃はみんな、アニメ、戦隊もの、怪獣など少なからず観て触れて育ち、けどいつの頃からか興味は他のものに移っていき、キャラクターものから卒業していきますよね。けれど僕は違ったようで、呼吸をするように好きなまま、今も生きています。

 

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オタク、新境地を開拓する。

ぼくの好きなものは、ロボットアニメ、特撮、昭和カルチャーやゲーム。ゲームといってもソーシャルゲームとかではなくてゲームセンターにあるようなゲームです。メガドライブやPCエンジン、NEOGEOとか今また流行ってるじゃないですか?ああいうレトロゲームが好きですね。アニメはキャラクター自体もですが、デザイナー・脚本・監督など作り手サイドについて調べるのが好きなんですよ。アニメ制作が90年代中頃からデジタルに移行して、今では縁遠いものとなってしまっていますがセル画もすごく好きです。質感、風合い、ぬくもりなど、アナログ感あってこその魅力を感じます。特撮もCG全盛の最新作より少し手前の手作り感が伝わる頃の方が好きかもしれません。アニメや特撮って僕にとっては、人生って言ったら大げさですが自分のアイデンティティの根幹になっています。それこそ一晩中語りたい毎日です。

引きこもり、大学留年、中退。ダメ人生だと思っていた......

小学校から中学生の頃、周りにアニメ特撮好きな人が少なくて、変に目立ったのか、何したわけでもなくイジメられ、酷い時はカツアゲされていました。周りからは距離を置かれ、次第に人を信じられなくなり、接するのを避けるようになっていきました。そして画面と会話するような日々を送る引きこもりっぽい生活も経験しました。

就職の時は、ちょうど「就職氷河期」が始まった頃でした。世間はパリッとしたスーツ着ていて、社交的で、オタクの僕には程遠い世界でした。誰のせいでもなく人生落ちこぼれだと感じて、授業にも行かず、漫画研究会に身を捧げ、ゲーセンに入り浸っていました。挙句の果てに留年から中退まで陥り、どんどんダメになって行くように見えたのか、両親や周囲のアドバイスでいろいろあってボランティアでブラジルに行くことになりました。

選択肢は二つ。インドかブラジルへ。片道切符の変化

正直、意味わからないですよね。急に外国に行ってこいって(笑)。その頃は、家にいるか、ずっと警備員のアルバイトしてるような生活で人生投げやり気味になっていたんです。だからこの先どうなろうとなんでもよかったんです。飛行機に乗って言語も気候も人も全てが異なる地球真反対の国・ブラジルへ向かうんです。「なにかやれるだろう」「ダメ元で行ってみたら?」「そこまで好きなものあるなら何か生かせるかも…」と。家族にも心配かけてしまいましたが、このおかげで世界の捉え方がガラリと変わりました。所謂、人生の転機です。

 

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地球の裏側に行ったら、人生も180度変わった。

24歳の時にブラジルへ行き、ボランティアとして2年間住みました。他にも何か国か選択肢はありましたが、自分はヘビーメタルが好きだったという理由から少しでも馴染みのあるブラジルを選択しました。ブラジルではメタルが根付いていて、当時から日本でも話題になっていました。

現地につくと、教会のボランティアメンバーとして活動をする生活です。地元の人も近づかないような、壁に弾痕があるようなスラム街です。現地の方たちと一緒に住んで、ポルトガル語を勉強して、みんなで遊びました。自分には何ができるかなと探しているうちに、「子どもたちがバイオレンスな環境に染まるより、自分が好きなアニメや漫画の話を伝えて楽しんでもらった方が良いのではないか?」と、つたないながらも知っていることを子どもたちに話し始めました。みんなアニメと漫画の話をするとすごく喜んでくれました。ちょうど海外でジャパニメーションが大ブームとなっていた時でした。自分が得意な特撮やアニメの話はいつの間にか共通言語となり、言語や人種を超えたコミュニケーションを生んでいました。これまでの自分の人生が嘘のように、ブラジルでは人と接する機会が増え、必要とされていると実感しました。

ボランティアビザの任期満了でブラジルから帰ってきた時点で、普通の就職コースからは外れていたので、失敗しても構わないと思っていましたが、最初に面接で内定をいただいたのがデジタルチェック(現在のメタップスペイメント)でした。昔ゴジラが倒したビル、戦隊とかいろんな特撮のロケ地でも使われてる聖地・新宿住友ビルに入居していたことが興味のきっかけだったのは、今では笑い話ですね。

 

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自分は会社員だけど、自分という個もある。 複数名刺を持つ時代を見据えて。

どこから自分という個を出していいのか。今でこそ、時代が変わって、個を出していく方へシフトしてきましたけれど、入社した10数年前は今とは違いました。右向け右だったし、会社の看板だけ背負ってるという空気がありました。しかし、いつか仕事を通してもやりたいことは出来るに違いないと、うっすらと感じていたんです。それはブラジルで思ったことなのですが、海外は多民族国家、個人を生かす環境や考えが当たり前なんです。今の仕事をしながら今の仕事しかしちゃいけない時代って絶対に終わるだろう…って思いが漠然とありました。日本でもこの考え方は必ず理解されると思って、ずっと我慢し、水面下で企ててきました。これから名刺を複数枚持つ時代が来るだろうと。いろんな仕事を同時にしたい人は少なからずいると思いませんか。そんな事を漠然と考えながら数年ほど前から、イベントの司会とかイベントの企画、趣味でDJなどやり始めてました。個人として全く違う人格になるわけでもなく、日頃は会社員やってる自分も出したいなって思い、「ロボ石丸」とネームを持って活動しています。当時から会社員でも社畜でもここまでやれるぞ!っていうのを証明したいと、どこかであったのかもしれないですね(笑)。

チケット予約・販売サービス「チケットペイ」

現在はメタップスペイメントで「チケットペイ」というサービスの営業を担当しています。「チケットペイ」は、チケットの予約から販売、全国のファミリーマートで発券をすることができるサービスです。販売するサイトの設定、予約状況の管理もスムーズに行うことができます。コンサート、舞台、ファンクラブイベント、セミナー、スポーツイベントなど様々なシーンで活用されています。

▼「チケットペイ」

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ぼくはこのサービスの営業活動をミッションとして、自分自身でもアニメ特撮関係のイベントの企画・提案・実施をしています。

公私混同が未来の仕事を生む時代

「公私混同」ってけっこうマイナスな感じで聞こえてしまいますが、今の時代これは逆に仕事にとても活きると思っています。SNSがあり自己プロデュースが試せる時代だからこその働き方、自分の個の部分を出して仕事に繋げ、仕事も人生も思いっきり楽しむという状態が一番幸せなのではないかと思っています。僕の仕事の仕方は世間から見たら規律的ではないのもあり、少し引け目もありましたが、SNS等を通じて自己を発信できるこのご時世、時代がついてきたって思いました。おこがましいですかね(笑) 。

「チケットペイ」のサービスが出来た時に真っ先に自分でイベント出来るぞっ!て思ったんです。様々なイベントを企画、開催してきましたが、このサービスを通してゴジラのファン上映イベントを起案した時に、会社としても仕事の仕方が変わったと思いました。東宝さんに企画書を持ち込み、自分でイベント構成も全て考えました。ここでやらなければ誰もやらないかも?という思いが先行して勝手に動いていました。儲けとかではない動機の力って物凄いパワーが出て、部内の協力のおかげもあり、無事満員御礼で開催することができました。その後も特撮やアニメの上映企画は毎年行っていて、今年年末の企画でちょうど10本目になります。持ち込み企画は常に挑戦と反省の連続ですが、逆に取引先様よりコンテンツの企画やプロモーションのアドバイスなどでお声がけいただく事もあります。何より年齢役職問わず、社外にもぼくと同じような志の方がたくさんいて、会社間を超えたモノづくりに携わる機会も増えてきた事はとてもやりがいがあると感じています。

正直入社後も仕事をやりたくない時期はありました。辞めようかなって何度も考えたし、人間関係にも悩んだ時期もありました。成績や年齢、学歴、それは人間誰しもが比べたくなってしまう時がありますよね。会社で自分の場所を確保するために。しかしその手法は一面では大切なのかもしれないけれど、今この時代に生きているからこそ、自分のやりたいことをいろんなやり方で見つける事が出来ると思います。仕事という機会を自分のフィルターを通して是非楽しんでみてほしいなと心から思います。

 

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