2019年9月5日、ブロックチェーンを活用したプロダクトの動向やNFT(ノンファンジブルトークン)マーケットの現状と展望についてディスカッションするイベントが開催されました。メタップスアルファ事業責任者の青木が登壇し、NFTの可能性、そしてメタップスアルファが同日にリリースしたNFTのマーケットプレイス「miime」を紹介しました。
NFTとはブロックチェーン技術を利用したトークンの一種で、ゲーム内のアセット(キャラクターやアイテム)の所有権管理などに使われており、ゲームキャラクターを別のゲームで使える仕様にできたり、ゲーム内のアセットに現実とリンクした資産性を持たせられるなど様々な利用方法が議論され、将来を期待されています。
有識者とのディスカッションというと、通常はゲーム開発者やメディアの方を呼ぶことが多いのですが、今回は、本格的なブロックチェーンゲーマーである「ともいさん」を大阪からご招待して、メディア、ゲームデベロッパー、ゲームプレイヤーの三者で対談という業界初の試みとなりました。
それぞれの観点から様々な意見が飛び交い非常に興味深いディスカッションでした。本レポートでは、その中でも特に記憶に残った登壇者のご意見をご紹介したいと思います。
某ゲームの勇者の剣で、別のゲームのモンスターを倒すみたいな世界観。
小澤 孝太 CryptoSpells 代表 :
これからNFTが一般に普及していくためには、おもしろいコンテンツを組み合わせながら、ブロックチェーン技術を活用したからこそ実現できる体験を生み出していくことが重要だと思っています。例えば、最近クリプトスペルズとマイクリプトヒーローズで実現した、ユーザーが購入した1つのアイテムが2種類のゲームで使えるというようなものです。つまり、某ゲームの勇者の剣で、別のゲームのモンスターを倒すみたいな世界観はブロックチェーンならではのものです。
NFTのゲーム市場は、ベンチャー企業が自社プロダクトを作って、飛び込めることがありがたい。そこから先のメリデメはこれから作っていく段階だと思っています。
早めに利確したつもりが。。。
ともい ブロックチェーンゲーマー/コミュニティディスコード管理人 :
2019年7月頭に、マイクリプトヒーローズ のアセットを全て売却してクリプトスペルズに移動した。しかし、その直後、急激にマイクリプトヒーローズのアセットの値段が上がった。
meetaps編集部 :
こうした事象はゲーム内アセットに仮想通貨によって資産性を持たせられるブロックチェーンゲームならではで、とても興味深い。
今までのゲームではゲーマーはゲーマーでしかなかった。ただブロックチェーンゲームにおいては、ゲーマーと協力して自分の資産価値を上げていくようなゲーマーやトレーダーが出てくるのではないか。
ただ今後のマーケット拡大には、とにかく間口を広くすることが大事だと思っています。もっとユーザを拡大させるには、無課金でどこまで遊べるか、どれだけ課金のハードルが低いか、が非常に重要。
デジタル世界と現実世界のリンクを。
岡部 典孝 リアルワールドゲームス株式会社 取締役 ARUK担当 :
ブロックチェーンゲームは、取引所を開設して仮想通貨(イーサリアム)を入手してようやくアイテムを購入する事ができます。この障壁をいかに下げていくかがマスへの普及の鍵です。ただ、NFTはデジタルデータが世界で一つしか存在しないことを証明できる唯一無二の技術です。この技術を活かして、リアルの土地で遊べる権利をゲームに組み込み、実際の現実世界での行動と紐付けると、今までにないゲームが生み出せるのではないか。
ゲーム内のランドを保有するとリアルの土地並みに所有感がある。
橋詰 大造 ピプリクト代表 :
ブラウザへのメタマスクのインストール、秘密鍵の管理など、ゲームアイテムの取引を始めるまでの準備が非常に煩雑で、これが大きな障壁となっています。一方で、アセットを自由に売買できる特徴があります。これによってゲーマーは、自分の力量や目利き力を活かして資産価値を向上させる事ができる。
マイクリプトヒーローズというゲームの中で、私が経営する会社としてランドという1種の国を所有しているのですが、そこでランドのキング主催のイベントを開催したりすると、実際に自分が土地を保有しているように所有感を抱けることはある。
meetaps編集部 :
みなさん、ブロックチェーンがまだまだ発展途上な技術ゆえの問題点を指摘されています。しかし、ブロックチェーンならではの楽しさは確かに存在していること、そしてそこを伸ばしていくことで、業界の発展に繋がるという共通認識を持たれているようでした。
このようなブロックチェーンならではの問題点をこれから解決していくべく、弊社の青木より「miime」の発表と今後のメタップスアルファのブロックチェーン領域での取り組みが発表されました。
デジタルアイテムのエコシステムの拡大に貢献したい。
メタップスアルファ事業責任者の青木 :
私はメタップスアルファで、ブロックチェーン部門の事業責任者として、事業開発・企画・技術開発・デザインに関わっています。
本日、「miime」のクローズドベータをリリースしました。これはゲームのキャラクターやアイテムを始めとしたデジタルアイテム(NFT)をユーザー同士で売買する場所を提供するサービスです。
ブロックチェーンを活用することで、売買が成立してすぐに支払いとデジタルアイテム(NFT)の所有権移転が同時に実行される仕組みを実現しました。
システムは100%内製で開発しており、メタップスアルファは当面、「miime」の開発に専念します。
ブロックチェーンを使ったアプリケーションは、ブロックチェーンのシステムが未成熟なこともあり、ある程度、知識を持った人でなければ使う事が非常に難しいというところが、マスユーザーの大きな参入障壁となっています。
「miime」は初心者でも使いやすい取引所を目指して開発を進めています。特に、初心者のユーザーには使いづらく感じるようなブロックチェーン特有の処理に関わる説明が少ないプロダクトが多いです。「miime」では、ブロックチェーン上で、今何が起こっているのか、アプリ上で細かく表示する事で、より初心者の方にも使いやすいように工夫しています。
もちろん、ブロックチェーン特有の課題で、アプリだけでは対応が難しいものもあります。しかし今後も単純に機能を実装していくのではなく、ユーザーにとっての使いやすさを意識して開発を進めていきます。
meetaps編集部 :
デジタル世界にリアリティーを持たせるブロックチェーン技術。これらを駆使したブロックチェーンゲームが、そしてNFT市場全体がこれからさらに飛躍するために必要な要素について、多様な視点からうかがえる登壇内容でした。そしてメタップスアルファの青木からも話がありましたが、メタップスアルファとしては、ブロックチェーン技術を駆使して、これまで実現できなかった世界、そして経済圏の構築を目指してまいります。
メタップスアルファエンジニアチーム
参考:「miime」のロードマップ